運営スタッフが行く!足立区体験レポート vol.2 【おつかれゆかい 三遊亭らっ好 編ー長崎ごはん】

こんにちは!あだちる運営スタッフです。今回は『運営スタッフが行く!足立区体験レポート vol.2』をお届けします。

第2弾としてお邪魔したのは先日北千住で開催された、【おつかれゆかい 三遊亭らっ好 編ー長崎ごはん】というイベント。「落語×お粥」という、ちょっと不思議な組み合わせを体験できるイベントです。

『おつかれゆかい』とは


落語を聴いて心をあたためて、お粥を食べて胃袋をあたためて、ほっと一息「おつかれさま」の時間と居場所と出会いを共有する落語会。

お粥は変化自在! 口演いただく落語家さんに、ご自身の故郷の食材や調味料、思い出の味などを「お題」として出していただき、それに応えてお粥を作ります。落語会の後に、みんなでお粥を囲んで、落語家さんの故郷の話、最近のなんでもない話などをしながらお疲れ会をしましょう。


※イベントプレスリリースより一部抜粋


今回のお題は『長崎』とのこと!いったいどんな落語とお粥に出会えたのでしょうか?
それでは、紹介していきたいと思います!
大きなビワの木を目指して
今回『おつかれゆかい』が開催されるのは、北千住駅東口から徒歩4分ほどの場所にある「(仮称)コーミンカン!」という古民家。大きなビワの木が目印だと聞いていたので、その木を目指します。

商店街の通りから細い路地へと入ると、そこは静かな住宅街。目立った看板などもなくしばらくウロウロしていると…
ありました!!

それにしても本当に立派なビワの木です。
おかげで入口も隠れてしまっているのですが、それがまた『隠れ家感』をいっそう引き立てていて素敵です。

当日はビワの旬の時期でもあり、大きな実も育っていました。
「長崎プレイリスト」を聴きながらのんびりと開演を待つ
ビワの木を過ぎ玄関前に立つと、気配に気づいたスタッフさんが出迎えてくれました。
中に入ると、高い天井にレトロな扇風機。木の質感が気持ちの良い、少しほっとするような懐かしい雰囲気です。

窓際には落語家さんが登壇される『高座(こうざ)』と落語家さんの名前が書かれている『めくり』が。
古民家の持つ優しい空気に落語のセットがマッチしていて、なんだか素敵な光景でした。
また、今回のチケットはお粥のほかに1ドリンクがセットになっており、開演までの時間もオーダーすることができます。アルコール類もオーダーでき、お粥を担当している「ちりん」さんおすすめの日本酒が大人気でした。

▲お粥担当の「野菜と日本酒専門店 ちりん」さん。手に持っているのは今日のおすすめの日本酒たち。谷中にある店舗ではお通しでお粥が出るんだとか。

また、会場内にはイベントテーマの『長崎』がゆかりのヒットソングがかかっていてムード満点、お酒との相性も抜群。窓から差し込む西日を眺めながらゆったりする時間は、講演を待つだけの時間とするにはもったいないくらい贅沢なものでした。

まるでタイムスリップ!没入感がすごい「落語」
そんな贅沢な時間を満喫しているとあっという間に開演の時間に。「長崎プレイリスト」が『出囃子(でばやし)』に変わり、いよいよ落語家さんの登場です。

今回講演される落語家は三遊亭らっ好さん。長崎県佐世保出身で、落語の登場人物の「人間的弱さ」をいかに豊かに表現するかを大切にされている落語家さんだそうです。

そんならっ好さんの想い出の味は「あらかぶ」の出汁のお味噌汁。いわゆるカサゴのことで、長崎の方では「あらかぶ」と呼ばれているそうです。東京じゃなかなか手に入らない「あらかぶ」ですが、なんとイベントに合わせてらっ好さんが地元で釣ってきてくださいました!

…となるはずでしたが、ハプニングが発生。
なんと、地元に戻り釣るところまではいったものの、実家に保存しておいた間にご家族が食べてしまったそうです!笑
急いで市場に「あらかぶ」を仕入れに行き、イベントには間に合ったそうで…。本編に入る前からもう落語のようなお話です。

そんなハプニング話に会場の空気もほぐれ、1席目。釣りにまつわる『唖の釣り』という落語です。

唖の釣り(おしのつり)


殺生禁断の不忍池で釣りをしていた七兵衛は、見回りの役人に見つかってしまう。見つかった驚きとポコポコ殴られた痛みで舌がつってしまい、まったく喋れなくなってしまうが、「病気の父親のためだ」と身振り手振りで言い訳(嘘)を熱弁する。なんとか言い訳が通じ「親孝行に免じて許してつかわす」と役人が釈放しようとしたその時、思わず「有難う!」と喋ってしまったが役人は「器用な唖だ」と感心する。


※筆者意訳・噺の一部を抜粋

※唖(おし)…言葉を発することができない人


筆者はこの落語が人生で初めて生で聴いた落語なのですが、とにかく驚きました。文章で読んでも面白い噺なのですが、らっ好さんが演じると臨場感がまったく違うのです!

効果音、表情、話し方、仕草の細かな違いで登場人物の切り替わりや場面転換を即座に理解することができ、疑問やストレスもなくストーリーが頭に入ってきます。変な言い方ですが、ストレスが無さすぎてテレビやネットなどの「映像を実際に目で見ている」のと全然変わらない!

むしろ電子メディアではあまり感じない、声圧で生じる空気の震えをダイレクトに感じられ、本当に自分もその時代・場所に居るかのような没入感がすごかったです!

その後も2席目『替わり目』、3席目『宿屋の富』を熱演。
あっという間に2時間が過ぎ、大きな拍手のなか前半・落語の部は終了となりました。

※出囃子(でばやし)…落語家が高座にあがる時にかかる音楽


「同じ鍋のお粥」が繋ぐコミュニケーション
落語の部が終わってまもなく、もう1つのメインイベント・お粥の部のはじまりです。
大きなテーブルが3つ用意され、お客さん、落語家さん、イベントスタッフみんなでそのテーブルを囲みます。

当たり前ですが、大体が「はじめまして」の人同士なのでちょっとソワソワした雰囲気に。笑
「ちょっと気まずいな…?」なんて思っていると待っていたお粥が運ばれてきました。

▲あらかぶ・三つ葉・ごまのお粥。調味料もらっ好さんが準備した長崎のものを使用し、本場の味を再現。

美味しそう…!

温かいうちに、と早々に一口いただくと優しい味わいが口の中に広がります。
味が美味しいのもはもちろんのこと、じんわりと温かさが体に入っていくのがとても心地良い。

それに「あらかぶ」を見ていると先ほどのらっ好さんのハプニング話を思い出し、「フフッ」となっちゃいます。

▲らっ好さんも一緒にお粥の部に参加。講演の後にこうして落語家さんとお話しする機会があるのは貴重!

お粥を食べ進めていると、誰からともなくテーブルを挟む人同士でぽつぼつと会話が。
「お粥が美味しいね」から始まり「今日のイベントはどうやって知ったか」など、どんどん話が繋がっていきます。

『同じ釜の飯を食う』ならぬ『同じ鍋のお粥を食う』。
さっきまで他人同士でソワソワしていたのに、今では同じ落語を聴いて、同じお粥を食べた人同士。

落語とお粥が繋いだ、新しい関係が生まれた瞬間でした。

まとめ
いかがでしたでしょうか?

講演がはじまる前は「落語は初心者だし、途中でついていけなくなっちゃうかな?」と不安もあったのですが、そんなことは全部吹き飛んでしまうくらい、本当に楽しい時間になりました。落語を生で聴いたことがない方にこそ、ぜひこの新鮮な驚きを味わっていただきたいです!

また、初対面の人たちと向かい合ってご飯を食べるというのも初体験でしたが、良い経験になりました!
最初はやっぱり緊張するけれど、少しずつ相手と会話が繋がっていくのは嬉しいですね。

今回イベントを主催された「本屋しゃん」さんは他にも落語のイベントを企画されていますので、ぜひそちらもチェックしてみてください!

本屋しゃんのほーむぺーじ

https://honyashan.com/



最後までお読みいただきありがとうございました!

[ テキスト/写真 ]

あだちる運営スタッフ