運営スタッフが行く!足立区体験レポート vol.4~前編~【先にゴールしたら負け!? “遅”について考えを巡らす『遅四グランプリ』ってどんなイベント?】

こんにちは!あだちる運営スタッフです!

vol.4となる今回のスタッフ体験コラムでは、2024年6月に北千住・仲町の家にて開催された『遅四グランプリ 机上の空論大会~わが遅対性理論~』というイベントについてご紹介します!

先にゴールした方が負け、というミニ四駆の『遅さ』を競うこのイベント。いったいどんなイベントなのでしょうか?その実態を遅四グランプリ実行委員会 会長の島本了多さん、副会長の三原回さんにお聞きしてきました!
“遅い”から生まれる可能性をみんなで考えたい
ーよろしくお願いします!早速ですが今回開催された『遅四グランプリ 机上の空論大会』とはどういったイベントなのでしょうか。
島本さん:『遅四グランプリ』という、一番遅いミニ四駆を決めるレース大会を中心とした『遅』について考えるイベントです。参加者の方に各々マシンを用意してもらい、先にゴールした方が負け!というレース大会です。

今回開催したイベントは少し特殊で、『こうしたら遅くなるんじゃないか?』といった想像上のマシンアイデアを発表し合うプレゼン大会でした。ミニ四駆を作るのが面倒な人でも参加できるのがウリで、マシンに限らず『最近あった遅かったこと』とかの発表でも全然OK。プロジェクターとかホワイトボードを使って『これって、こうしたらもっと遅くなるんじゃないか』っていうのを、みんなでワイワイ話し合うイベントでした。

※遅四(おそよん)= 遅いミニ四駆

▲会場に展示されていた遅四駆

ー「遅い方が勝ち」というのは斬新ですね。今回は実際のレースは無くアイデア大会とのことですが、どんな風に優勝者を決めたのでしょうか?
島本さん:僕らがいいなと思ったものに『一番』をあげたっていう感じです。それにプラスしてオーディエンス賞をお客さんに投票してもらって決めました。今回は「プログラミングにおける『遅』」について発表した方がオーディエンス賞を受賞したのですが、プレゼンもとてもお上手で説得力がすごかったです。

▲今回オーディエンス賞を受賞した「プログラミングにおける『遅』」のプレゼン資料

ー会場には遅四マシン以外にアート作品もたくさん展示されていますが、これも『遅』に関係するものなのでしょうか。
島本さん:そうですね。元々このイベントは遅四のレース大会が始まりなんですが、皆さん回を追うごとにどんどん遅くなっていくので、決勝までいくとレースがほぼ動かないんですよ(笑)。

三原さん: で、どんどん場がもたなくなってくる(笑)。そこに一緒に運営をやっているメンバーが「“遅”をイメージした作品を作ってみたよ〜!」って持ってきてくれたんです。それをレースをやりながら鑑賞できるようにしたのがアート展示のはじまりですね。最近はアートに限らず、いろんな『遅』文化を発表する場になっています。今回開催した『机上の空論大会』もミニ四駆だけに限らず『遅』に関連するもの全般についての意見交換の場になったらいいなと思っていました。
ーなるほど、『遅』自体について考えるってことですね。ちなみに“遅いアート”というのは明確に定義があるんでしょうか。
島本さん:特に定義はないですね。僕は焼き物で作品を作ることが多いんですが、電動ろくろが動くか動かないかギリギリのスピードで挽いた『遅ろくろ』のお茶碗を作っています。ろくろは基本丸いものを作るのに長けた道具なんですが、スピードが遅いと綺麗な丸にならず、ぐにゃっとなっちゃうんです。それが逆に『遅いからこそできる』作品だと考えています。
それと今回はレースの後にミュージシャンの方にライブをやってもらいました。遅四グランプリをテーマとした楽曲『遅四音頭』の初披露です。
ー『遅い音楽』もあるんですね!単純に“テンポが遅い”といったイメージでしょうか?
三原さん:これに関してはちょっと違いますね。この間まで岡本太郎美術館で『遅博』という“遅”をテーマにした展覧会をやらせていただいたんですが、その会場構成の一部として音楽も”遅”をテーマにしたものがあるといいなと思っていたところ、もともと知り合いだった歩時レネさんが『こんなのどうですか?』と曲を持ってきてくれたんです。この展示は『“遅”という文化を集めた博覧会』というコンセプトで、いろんな人が作った“遅”作品に触れられる場所を目指していました。音楽もその中の要素の1つとして、会場の雰囲気に合うよう万博っぽい感じに音を作っていただいています。

▲ライブの様子

ーなるほど。どこに『遅』を感じるかは人によって全然違いそうで面白いですね。そういった点で見ると『速』はわかりやすい指標のように感じます。
島本さん:そうなんです。『遅』はそれだけだと知覚できなくて、なにかと比較しないと分からないものだと感じています。絵とか写真でも“速さ”は表現できるかもしれないけど、“遅さ”って表現しにくい。そもそも動かないし(笑)。そのあたりが今回のイベント名にも使った『相対的』に行き着くのかなと。“速いこと”が世界を動かしてるから、『速』はもうみんなだいたい理解できている。煮詰まっているというか、『速』のアイデアは出尽くしていると言っても過言ではない気がしますね。

三原さん:だけど『遅』はやっぱり難しい。だからこそ、それをみんなで考えようというのが僕らのテーマなのかなと考えています。これからもいろんな人と『遅』について話せるイベントを開催していきたいです。

※今回のイベント名は『遅四グランプリ 机上の空論大会~わが遅対性理論~』  ”相”対性の「そう(お)」をひっくり返した言葉遊びになっている。
ーありがとうございました!

▲今回展示されたアート作品など。<1枚目>犬の牛歩戦術(三原回)<2枚目>潜在的石/Latent stone(GengoRaw)<3枚目>野点ならぬ野遅を楽しむ島本さん<4枚目>遅盆踊り(teshnakamura)

まとめ
いかがでしたでしょうか?

後半ではこの『遅イズム』についてさらに詳しくお話を聞いていきます。
ぜひ楽しみにお待ちください!
運営スタッフが行く!足立区体験レポート vol.4~後編~
【遅いことで効率を良くする。そんな『遅イズム』を楽しもうと思ったキッカケ】

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